kenshiプレイ日記38「塔」
前回はこちら
将軍の死を見届けた後、再びマルコ達はカワハギの本拠地を目指し歩みを始める。
道中、巨大な四足歩行の怪物に出会った。白銀の大地を一歩ずつ、ゆっくりゆっくりと歩き続ける怪物は、「清掃ユニット」という名前を持つ。スケルトン同士がいがみ合うこの場所で、彼はあたりの喧騒を気にせず、ただ決められたルートを進む。
マルコは彼の気持ちに思いを馳せる。機械である彼に、感情などあろうはずもない。しかし、その姿にはどこか、哀愁を感じる。まるで、この地で散った数多の生命を弔っているかのように。
巨体が地平に消えるのを見届けて、マルコ達は再び進みだす。
その後すぐに、リージョンというスケルトンの勢力と遭遇した。古代の鎧に身を包み、前衛はカタナ、後衛はクロスボウと組織だった戦い方をしてくる。
しかし、喧嘩を売った相手が悪かった。歴戦のツワモノであるマルコ達の前に、スケルトン達は屍をさらすほかなかった。
マルコとバーンは、リージョン兵の死体を見ながら考えていた。これだけの人数を動員できるということは、ここがリージョンの領土なのかもしれない。そしてリージョンとカワハギが争う、あの酸の雨の地が国境だとすると、おのずとカワハギはあの地に本拠地を有しているという推論に達する。
話し合いの結果、マルコ達は一路北へと向かった。所在に関する有力な情報は無く、しらみつぶしに雨の中を探していくほかない。
雨の止み間で、一行は休息を取る。パックブルの背に積んでいたキャンプベッドを地面にひいて、疲れの見えるものから順番に休ませる。
ふとバーンが遠くの喧騒に気付き、マルコを起こす。
ここから遠くない塔で、リージョンとカワハギが戦闘を始めていたのだ。塔の上ではリージョン兵がハープーンの雨をカワハギに降らせて行く。何人かのカワハギが頭に直撃を受けて大地に崩れていく中、生き残りが必死に塔の入り口へと迫る。
リージョン兵も相当な手練れだったが、波状攻撃を仕掛けるカワハギたちの前に、少しずつ損失を出している。
「あれだけ苛烈な攻撃を仕掛けるのだから、あの塔に何か秘密があるのかもしれない」
そう思ったマルコは、バーンの反対を押し切って塔へと忍び込む。バーン曰く、「両者の争いにもはや意味があるとは思えないし、あの塔の去就が決まったとしても、争いの帰結には一切関係がない」からだ。
戦いが小休止した夜間を狙って、マルコは塔に忍び込む。これまで鉄グモ相手に隠密のスキルを上げてきた彼にとって、この程度のことはたやすかった。
「ロボットの廃墟」と名づけられた塔を二階まで上ったところで、マルコは階下からの足音を聞いた。
カワハギもまた、闇に紛れて奇襲をしかけたのだ。マルコはそっと物陰に隠れ、息を殺す。
マルコの存在に気付かないまま、リージョンとカワハギは屋上で死闘を繰り広げる。しかし、少数のカワハギに対し、リージョン兵は有利に戦いを進める。技量でいえば、塔のリージョンの方がはるかに高かったのだ。
息も絶え絶えといった様子でカワハギが逃げ出すのをみて、マルコは行動を再開する。今のうちに、この塔の秘密を探ろう。
金庫を開けて見つけたのは、クロスボウぐらいだった。やはりバーンの言うとおり、この塔の存在に意味は無いのかもしれない。
マルコは必死に逃げるカワハギを足蹴りにしながら、この塔を去った。
あのカワハギはといえば、巡回中のリージョン兵に見つかり、一方的に刃を受ける。
その光景を見ながらマルコは思った。彼らはこの南東という閉鎖地域で、数千年も前から戦いを続けているのだろう。最初は双方にとって崇高な目的があったのかもしれない。しかし今となってはその目的を差し置いて、ただ戦うということが、両者にとっての存在理由となった。もしそうでなければ、この「ロボットの廃墟」という無価値な塔に、これほどまで執着する理由はないのだから。
鋼鉄の体がひしゃげる音を聞きながら、マルコは皆が待つキャンプに戻った。
「カワハギの蛮行を止める」
ユニティの一行は、目的の地のすぐそばまで迫っている。
つづく