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泳いだマルコ達がたどり着いたのは「ラプターアイランド」と名の付いた島だった。
体についた水滴を払い落とし、地図を確かめる。
ここ一帯はスワンプラプターの巣になっているらしい。
スワンプラプターの一隊を見つけ次第、倒していく。
たいした脅威ではない。
「ラプターアイランドと大仰な名前が付いている割りに、たいしたことないな」
マルコがそうつぶやくなか、バーンが口を開く。
「まだ安心しないほうが良い、マルコ。この島にはきっとスワンプラプター以外の脅威が存在するはずだ」
普段ヘングで砂嵐の空しか見ていない彼らにとって、海辺の景色は新鮮だった。日が昇り、この島に唯一ある廃墟に光が差し込んでいく。鳥達は不吉な声を上げながら、上空を旋回している。
「何かいるとしたらあの廃墟だぞ」
マルコの発言は正しかった。
薄明かりの中、巨体が姿を現した。
メガラプターだ。
通常のラプターより数十倍の体躯と、それに見合った戦闘力を持つ。
「どうだ、やれるだろうか」
マルコはストークに相談する。
「やつが攻撃的なら、戦うほかないだろう」
バーンはじっとラプターを見ている。心なしか、好奇心に心躍っているように見える。
「こんな大きなラプターなんて見たことない。しかし、我々であれば十分に戦えるはずでしょう、マルコ」
そうこう話しているうちに、メガラプターは俺たちを見つけた。
すさまじい叫び声をあげ、突撃してくる。
「頭に攻撃を集中しろ!!」
マルコの指示が飛ぶ。
メイがラプターの気を引く間に、ジョーダンやバーンの剣が一振り、また一振りとラプターの巨体に突き立てられていく。
傷を負ったメイが下がり、アベルとパックブルがその役目を引き継ぐ。
ホーリーネーションとの戦いで一段と連携が強化された俺たちの前で、ラプターの傷口は次々に増えていく。
そしてついにその瞬間はやってきた。
スケルトンのバーンの一振りが頭に直撃した瞬間、
ラプターは轟音を立てて崩れ落ちた。
「意外とたいしたことはなかったな」
マルコは冷静にそう言った。味方で気絶した者もいなかった。
バーンはラプターの死体をじっくり調べている。
「一体何の影響でこうなったんでしょうな」
「まったく想像がつかんよ」
マルコは死体から切り取ったツノを眺めながら答える。
「この研究所に何か秘密があるかも知れませんな。しかし、こんなめちゃくちゃに壊されている以上、それを知る術はもうないか・・・」
悔しそうにバーンはつぶやく。
ひとしきりあたりを調べてから、俺たちは大陸に泳いで戻った。
ユニティから持ってきた食料が、底を尽きつつある。
ラプターから取れる肉は、とても人間が食べられるものではなかったのだ。
「食料をよこせ!」
飢えた盗賊には悪いが、我々も食料が欠乏しているんだ。
彼らを適当にいなした後、遊牧民の住居を見つけた。しかしここでは売るような食料は取り扱っていないらしい。
食欲をぐっと抑え、マルコ達は更に進む。
ここから東に進めば、モングレルという街が見つかると聞いた。
街のバーなら十分な食料が見つかることだろう。
道中、霧深い山道を進んでいく。
不気味な祭壇を見つけたが、マルコ達にはこれが一体何なのか検討もつかない。
静まり返った山道を進んでいくうちに、目的地にたどり着いた。
さあ、バーで食料を買おう。マルコが建物に入ろうとしたその時、
「ビープ」
聞きなれない声がマルコの耳に届いた。
つづく。