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ヤロン帝国は何故没落したのだろうか。
いま推測出来る理由は二つ。一つは、彼らの繁殖能力の低さだ。
文明が進むと晩婚化が進み、少子高齢化が起きる。これは人類でも見られた傾向だ。原始的農耕時代には、働き手の数は何よりも大事だった。しかしある程度文明が進むと、積極的に子孫を残そうとしなくても良くなる。技術革新により、人手が不要となっていくからだ。私が推測するに、ヤロンの民も同様ではなかっただろうか。
もう一つは、彼らのもつ狂信的孤立主義に起因する、退廃的な社会体制である。
この銀河で最も進んだ技術を持ちながら、彼らの居住地であるリングワールドの一部を破壊されたまま放置しているのは、その民族性の所作ではないか。もしかすると、修理する技術はとうの昔に失われたのかもしれないが。
これも推定の域を出ないが、彼らははるか昔、それなりの規模の帝国を築いていたに違いない。そしてある時派閥争いが起き、急進的な軍国主義者が政権を奪取。知識層を根絶やしにした上で軍政をひいたのかもしれない。
先鋭的な思想は、かつての共産主義国家で起こったように形骸化していき、最後には官僚的で思考硬直した支配層や、怠惰な市民たちを生み出していく。ヤロンの民の場合、行き過ぎた軍政が、彼らの民族性を変えてしまったのだ。
彼らはその狭い世界の中で、何百年、いやひょっとしたら何千年もの間、何も変わらない生活を営んでいる。
ヤロン帝国に関する一考察
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陛下、艦隊の準備が完了しました。
打ち合わせの通り、彼らの首都めがけて突入します。
わかった。これだけの戦力があれば、ヤロン人とて敵わないだろう。
科学調査船の船長達には、身の回りにある物は何でも手当たり次第調査するように伝えろ。
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戦いはすぐに発生した。
宣戦布告と同時に我が帝国は首都に向けて進軍を開始。145Kを数える我が艦隊は、星系の外縁部に到着した。
あらかじめの情報通り、敵はタキオンランスと呼ばれる武器を使用してきた。一般的な戦艦であれば、ひと撫でされただけでひとたまりもないだろう。しかし我が帝国艦隊は、この銀河でも一番の強さの装甲を採用している。
その攻撃力に目を見張る帝国軍の提督達だったが、連邦戦争やその後の戦争を生き抜いてきた強者であるかれらにとって、それは大した問題ではなかった。
艦列を整え、効果的に敵艦を落としていく。
性能の差はあったかもしれないが、数の上で有利であり、艦隊に統制が取れていれば、それに勝るものはない。
古代の技術で動く敵艦は、ひとつ、またひとつとデブリに変わっていく。
ヤロン人たちはその光景をどのような気持ちで見ていたのだろう。
遺伝子強化兵が敵陣に切り込んだときには、抵抗は散発的だった。
こうして、エルスウェアは落日の帝国にその終焉を宣告したのだ。
しかし、皇帝は寛大にも、彼らに居住地を一つだけ残していた。(筆者注ー戦勝点が足りなくて一つだけ残っただけです、ゲーム的には)
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陛下、通信が届きました。
この後に及んでなんだ。
我々に対し、周辺惑星の即時放棄を求めています。
「薄汚い寄生虫どもめ!お前が我らの宇宙を侵略するのもこれで終わりだ。今すぐ退却しろ、さもなければ、カジートというお前の無価値な種族の根絶やしにしてくれるわ」
やつらは正気か。あきらかに戦争に勝ったのは我々だ。このような状況下でも奴らはプライドを捨てないのか。
彼ら最後の居住地に戦艦が集まっているとの情報もあります。数は少ないとはいえ脅威には変わりありません。
わかった。艦隊を集めろ。これですべて終わらせてやる。
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彼らの最後の居住地に、帝国艦隊は集結した。
最後のプライドを見せるためなのか、戦力差など無視して捨て身で突撃してくる彼らを、帝国艦隊は冷静に正確な射撃で落としていく。
帝国軍の勝利は誰の目にも明らかだった。
「小ざかしい野獣め!よくもまあ我々に勝利したと宣言できるな!」
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こうしてヤロン帝国攻略に成功したエルスウェア帝国。
もはや彼らに対抗できる勢力は、この銀河にないように見えます。
銀河征服へ歩を進めるエルスウェアに、今後どういった運命が待ち受けるのでしょうか。