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ゲームに関する備忘録

いきつけのバーを持とう

僕はネガティブな人間だ。決してそれを悪いと思っていないし、むしろポジティブな人よりも細かいところに目が届く事、危険を察知する事は長けてるのではないかと思う。

 

けれど、仕事やプライベートで落ち込むことが続くと、どうしても気が滅入ってしまう。細かいことが気になり過ぎたり、起こりそうにない事で不安になったり。この文章を書いている今もまさにそうだったりする。

 

そんな時、僕はバーに行く。できればちょっと偏屈なところがいい。こだわりが強い店を経営してる方は、我々よりも激しい人生を送っている事が多いし、自然とお客さんもおもしろい人が集まるから、話の引き出しも豊富だと思う。個人的な主観だけど。

 

初めて行くお店では、アードベッグ10年みたいなスタンダードなお酒を頼む。お高いお店は会計でドキドキしなければいけないし、初めてのお店であんまり珍しいものには手を出さない方がいい(経験者は語る)。よっぽど忙しいわけではないかぎり、一人で来る客にはマスターが話しかけてくれる。「うちに来ていただくの、初めてですか」「ええ、知り合いにあそこのお店、雰囲気がいいと聞いたもんで。こんどデートで使いたいなと思って下見に来たんです」「はは、なるほど。大歓迎です」何度か行って気が合いそうだったら、晴れて「いきつけ」としよう。

 

今度はあんまりお客さんがいない早い時間に行って、マスターにも一杯ご馳走しつつ、ゆっくりと世間話をする。「なんにしましょ」「今日はビールからで」「珍しいね、都会であんまり飲んで来なかったんだ」「最近コロナやなんやで飲み会もないですからね。今日は一軒目なんですよ」

 

さすが歴戦のプロはこちらの顔を見て、いましてほしいんだろうなって話を的確にしてくれる。むかし来てくれたお客さん、誰に対しても腰が低かったけど、実は大企業の重役だったってお話とか、キアヌリーブスが店に来た時、マスターが唯一苦手なテキーラをご馳走されたお話とか。なんだろう、お酒と一緒に小噺がしみて、ゆらゆらいい気持ち。

 

僕はお酒飲みだけど、あんまり強くない方でもバーはお勧めしたい。いいマスターであればあるほど、その人にあったお酒を出してくれる。僕の行きつけのマスターは最高にかっこよくて、「僕がメニューです」を本当に実践してる。初めて来るお客さんに、どんなお酒を出すのか見ているのが楽しい。 ああ、あんな飲み方もあるのか。マスター、僕もそれをください。

 

ぜひ皆さんも、自分にとってのいきつけのバーを探してみてほしい。きっと自分にとっての大切な一軒が見つかるはずだ。