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ゲームに関する備忘録

Kenshiプレイ日記39「墓標」

 

酸の雨が降り止むことはない。雨粒はしとしとと、錆びた色をした大地を削っていく。水滴に打たれながら、マルコは前方に広がるカワハギの本拠地を見つめている。

 

今日、カワハギたちの息の根を止める。

そのために彼らは遠くユニティを離れ、ここまで来たのだ。

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ビープを先頭に、彼らの巣窟に切り込んでいく。

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不意を突かれたカワハギも、すぐ体制を立て直してマルコ達に襲い掛かる。カワハギたちからすれば、新鮮な獲物が自ら腕の中に飛び込んできたようなものだ。奇声をあげ、棍棒を振りかぶる。これだけの人数がいれば、どれだけ皮を剥げるだろう。f:id:Mestral:20190430161203j:plain

 

しかし、マルコ達はヤワではない。獲らぬ狸の皮算用とは、よく言ったものだ。

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あらかじめバーンから聞いていたように、マルコはカワハギの体から、CPUユニットを取り出していく。頑強なスケルトンを何度も起き上がらせるのは得策ではない。意識を失っているうちに中枢を取り出せば、もう彼らも目を覚ますことはないのだ。

 

ひとつ、またひとつと、CPUユニットが積みあがっていく。

 

「慈悲は無い」

 

マルコは思う。自らの私欲を満たすために力なき者を虐げるものたちに、生きる資格などない。ホーリーネーションや帝国だって、同じように滅ぼしてきたのだ。

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騒ぎを聞きつけたカワハギたちが、建物の中に押し寄せてくる。

もっとも、屋内で戦えることは、マルコ達にとって好都合だった。酸の雨を気にしなくてよいのであれば、駆けずり回って敵を叩く必要もない。陣をはり、数的有利を作って戦えば、こちらの被害も少なくなるだろう。

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サヴァントは教えてくれたんだ。スケルトンは嘘つきで、殺し屋なんだ」

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彼らの首領、サヴァントが来る。

その姿を見て、マルコは驚くことになる。

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サヴァントはスケルトンではなく、生身の人間だったからだ。

カワハギを一体連れて、このスコーチランド人は建物中に突撃してくる。

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しかし、マルコの重い一撃を頭部に受けたサヴァントは、案外あっけなく倒れこんだ。

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彼の懐からは「スケルトンを人間に生まれ変わらせる聖典」なる設計図が入っていた。人間の皮を剥ぐピーラーマシンと、その皮で作る人間の皮スーツの製法だという。

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「人間とスケルトン、お互いに距離を保っておくほうがいいんじゃないか」

戦いが終わってほっとしたのか、グリフィンがそう呟く。

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あらかじめ決めていたように、マルコはサヴァントを階上へ運んでいく。

 

「自らが作り上げたピーラーマシンで、自分の罪を償わせる」

 

それが今まで犠牲になったものたちへの、せめてもの手向けだろう。

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悲鳴を上げるサヴァント。

マルコとバーンは、彼の叫びが止むときまで、ずっとその光景を見ていた。

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マルコ達は残りのカワハギも掃討していく。

カワハギたちは非情なもので、つい先ほどまでサヴァントが腰掛けていた玉座に、もう別のカワハギが陣取っている。

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「心を持たない狂人たちが来る場所ではない!」

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そう叫ぶカワハギを見て、一体どちらの方が非情なのだろう、そうマルコは思った。

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酸の雨が降り止むことはない。雨粒はしとしとと、錆びた色をした大地を削っていく。

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「まるでカワハギたちの墓標だ」

 

積みあがったCPUユニットを見て、マルコは思う。その一つ一つが、カワハギたちがここで生きてきた証なのだ。彼らの行為は決して肯定されるものではない。しかし、彼らには彼らの正義があったのかもしれない。サヴァントが死んだ以上、もはやそれを知る由も無い。

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ケルトン達は嘘つきで殺人者だと、サヴァントは言ったらしい。しかし、人間だって同じではないかと、マルコは思う。

 

ここに長居する理由もない。マルコ達は一度、拠点に戻ることにした。

 

つづく