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ゲームに関する備忘録

Kenshiプレーヤーストーリー大賞2「仲間の犠牲」

前回に引き続き、プレーヤーストーリー大賞の意訳をお届けします。

 

今回のタイトルは「仲間の犠牲」です。

 

仲間の犠牲

 

ホーリーネーションの支配地を歩いている時に、平均以上の剣の腕前を持つこの大男を雇った。彼はあまり多くを語らなかったけれど、俺達は彼をフィッシュと呼んで仲間に迎え入れた。俺たちよりも相当な手練れだったから、彼はブリスターヒルへの行商に加わることになった。

 

今日も普段と変わらない、自分達のバックパックに荷物を詰めて、パックブルにも沢山の荷物を背負わせて、孤独な頂きと呼ばれていた俺たちの拠点から北西に向かった。冒険に出かけるときはいつも、胸は希望に満ちていて、歩く足も軽い。金属製の扉が開く音を聞いていると、新しい衣服や設計図、そして武器のことで頭の中がいっぱいになった。

 

一時間ほど歩いて、ビークシングや野犬の群れのそばを通り抜けて、牛の群れを見かけるちょうどその直前に、ホーリーネーションの歩兵の「止まれ!」と叫ぶ声が聞こえた。トラブルになりたくもないし、俺たちは立ち止まった。今日の遠征には女性も参加していないし、女性の不純さや誘惑について講釈を受ける事はないと確信しているからだ。歩兵の言葉から、俺も仲間も知っているんだ、この地に情けという概念が存在しないことを。そして歩兵は威厳を保ちながら言い放った。「諸君の仲間達からすべての非人間を取り除いて連行しなければならない、浄化のために」

 

フィッシュはシェク人だった。

 

ヒム(スティームより)

 

ブログ筆者の感想

前回と同じように、またホーリーネーションが絡む悲劇ですね。常々思っていましたが、なんて罪深い勢力なんでしょう、彼らは。

 

筆者も同じような経験をしたことがあります。男だけのメンバーのときにオクランの盾の近くを通り抜けたときは、慇懃なパラディンがレーションパックを押し付けてきて「親切すぎて逆に気持ちが悪い」と思っていたのですが、次に女性やシェク人を連れて領内を通ろうとすると、上記のプレーヤーストーリーのように、仲間をさらわれそうになってしまったのです。それ以来、筆者はどんなプレイスタイルでもホーリーネーションとは犬猿の仲を続けています。

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組織に排他的な風土を定着させることで、組織の結束を高めるというのは、人類の歴史上どこでも行われていることですよね。バーン爺の言うとおり「歴史は繰り返す」とはまさにこのこと。

 

ホーリーネーションがもつ「異民族や女性への蔑視」の端緒を紐解いていくと、Kenshiの世界で人類が被った数々の悲劇が原因なのだと推測することができます。以下の記事でKenshiの歴史解説を翻訳したときに知ったのですが、人類はスケルトンやシェク人といった異民族に抑圧されていた過去があって、それがホーリーネーションの持つ排他性につながったのではないかと考えられていますよね。

 

(リンク先は思いっきりネタバレが含まれているので、ご覧になる場合はお気をつけください)

それぞれの勢力や種族には固有の主義主張を持っていて、それらが微妙なバランスで成り立っているのがKenshiの世界であって、プレイヤーの行動如何でどう転ぶか決まってくる。ゲームのシステムだけ見ても面白いけれど、こんなに設定の深い歴史に裏付けられるとなお面白いなと、筆者はしみじみ考えてしまいました。

 

次回は最後のお話です。ご期待ください。