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Storkは再び旅に出る。
普段ヘングに住んでいるStorkにとって、パラディンと話すのは初めての経験だ。
にこやかに近づいてくる彼らに警戒しながらも、Storkは口を開いた。ここには旅で来ていること。そして、彼らの信仰は尊重していること。
その言葉に満足したのか、パラディンは言った。
「さあ、どうぞ食料をお持ちなさい。あなたは神の寵愛の中にいるのです。オクランの監視の下、あなたが神聖な生き方を選ぶ事を期待しています」
そういってパラディンはStorkにRation Packを渡してきた。Storkが内心警戒しながらもその食料を受け取ると、パラディンたちはその場を去っていった。どうやら、本当に良心からの行動らしい。
もらった食料を頬張りながら、彼は考える。
帝国より、ホーリーネイションの方が豊かなように思える。パラディンが率いる兵士の数はサムライよりも多いし、何より貴重な食料をこうも簡単に分け与えるからだ。
なぜ国が豊かなのか、答えはひとつ。場所が良いからだろう。
オクランと名のついた場所は、木が生い茂り川には水が流れ、農作物を狙う野生動物も闊歩している。食糧生産に適した場所といえる。
一方、帝国の領土であるグレートデザートやヘングは、一日中砂嵐が巻き起こり、育つ作物といえばサボテンや小麦くらいである。
まずいサボテンスティックをかみ締めるのか、肉・野菜・魚などバランスの取れた食事をとるのか、どちらの方が良いかは明らかだろう。この差は身体的な違いだけではなく、精神的な違いにも反映されるだろうとStorkは思う。
物思いにふけながら歩いていると、一つの小屋を見つけた。
こんな荒野のど真ん中に建物があるなんて、何かがおかしい。
Storkは門を叩いた。
「敵襲だ!!」
敵とはStorkではない。
カニバルのことだ。
どうやらStorkの後をずっとつけていたらしい。
とはいえ彼も百戦錬磨の戦士である。小屋の住人達と協力してカニバルどもを叩きつぶした。
「こんなところに何しに来たんだ?放浪者よ」
彼らはフロットサムニンジャといい、カニバルの勢力がこれ以上拡大するのをここで防いでいるそうだ。
「ただ世界を見ようと放浪していただけなんだ。ところで、君の名はなんというんだ」
「私はフロットサムの次席指揮官、マニ防衛隊長だ。私は元カニバルハンターで、人生をカニバルどもの追跡にささげてきたんだ。10年前にやつらの牢獄から脱出して以来ずっとな。当時の同志には残念ながら運がなかったようだが・・・」
Storkは彼らに心から礼を伝え、労をねぎらった。この世界で自分の身を挺してまで悪と対峙しようという人間など稀有な存在だからだ。
明け方Storkは出発した。
そして「再生」と名づけられたリバースという土地で見つけたのがこれである。
Storkは激怒した。
ここでは「人間ではない」種族が、強制労働をさせられているのだ。しかも、作っているのはホーリーネーションの指導者フェニックスの巨像である。
純粋無垢な信者達は、ここで死ぬまで働けば、来世でマトモな人生を歩めると信じ込まされている。いや、果たして信じているもの等いるのだろうか。
Storkが聞いていた噂は本当だった。人間ではない種族がホーリーネイションの領土に迷い込むと、パラディンと戦って死ぬか、再教育と称してリバースで強制労働につくか、どちらかだという噂だ。
いつかStorkは彼らを全員解放してやると心に決めた。
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Storkの情報を元に、古代の遺物探索は着々と進んでいる。
ヘングから西へ東へ、彼らの冒険は止まらない。
着々と力を付けていくMalko達。
各地を回ることで古代の技術を見つけるとともに、戦うべき相手も確実に定まってきた。
彼らの進軍は止まることはない。
つづく。