もともとはMalkoは隊商の長の名前だった。
このクソ貯めのような世界で、彼は清廉潔白な人物だった。彼がいなければ、俺は奴隷に売られるか、カニバルどもの餌食になっていたかもしれない。
ちょうどいま、彼の亡骸を埋葬したところである。
今日ここから、俺は一人で生きていかなければならない。いや、正確には一匹のボーンドッグも一緒だ。
道中、さまざな争いを目にした。人さらいや奴隷狩り、反乱奴隷、狂信者など、自身の信条や私利私欲に突き動かされ、彼らは互いに血を流す。
何とか彼らの目を避け、近くの町を目指す。
しかし、天は俺に味方しなかったようだ。
砂漠のど真ん中で、反乱農奴たちに見つかってしまった。
抵抗する間もなく、俺は砂の上で打ちのめされた。
暇を持て余した農奴たちは、次のターゲットを野生動物に移していた。
奴らがどこかに去ってから、死んだふりをやめた俺達は、野生動物に群がる。
あまりに惨めだが、こんな境遇にはもう慣れている。
痛む傷口をさすりながら、まずい肉を作業のように胃に流し込んでいく。
本当にまずい。砂でも食ってるほうがマシな味だけど仕方ない。
再び立ち上がった俺は、ようやく町の外壁までたどり着いた。
だが旅の疲れからか、町を目の前にしてまた倒れこんでしまった。
一人の男が俺の体を持ち上げる。
そう、やつは奴隷商人だ。今この瞬間から、俺はやつの奴隷となった。
足かせをはめられ、奴隷の牢屋へと運ばれていく。
牢屋にぶち込まれると思ったその時、不可解な事がおこった。
奴隷商人は俺を牢屋の外に放置したのだ。
こんなチャンスもう訪れるはずはない。
必死に足かせをはずす。
やった!とれたぞ!!
町を警備するサムライたちをトレインしながら必死に砂漠を走る。何も悪いことしてないのに奴隷にされるなんてごめんだ。
何とか逃げ切ることができたけど、状況は悪くなる一方。
さて、どうしよう。メシもないしカネもないし地位も名誉もない。町に行ったらまた捕まって奴隷になる未来しか見えないし、こんなところで飯食えるほどこの世界は甘くない。
前より悪い状況でまた砂漠の真ん中に戻ってきてしまった俺は、ただ呆然と立ち尽くすほかなかった。
つづく