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ディスプレイを切っても許してくれ。お前達の薄汚い姿を見ると吐き気がするんだ。
ひとしきり罵声を浴びせたあと、巡礼者たちは宣戦布告した。
「お前達は宇宙の雑草に過ぎない。掃除の時間だ」
先制攻撃を仕掛けたのは没落帝国の方だった。
やはり自らの聖地を守りたいのであろう、Sabik星系に124Mもの艦隊を集結させた。
それを迎え撃つのは、Tholoth提督が率いる艦隊109Mである。
巡礼者たちの方が数は少ない。しかし、Tholoth提督はあのEther Drakeを倒したことで全宇宙にその名を轟かせる「ドラゴンスレイヤー」である。提督に率いられる兵達は、どんな相手でも打ち勝てる事を確信している。
没落帝国が聖地に隣接する惑星を爆撃しようとしたとき、巡礼者たちは星系に到達した。
ここに、史上類を見ない大規模会戦である、Sabik星系の戦いが始まった。
提督は、敵の長距離砲が脅威であることを十分に認識していた。
指揮下の艦隊に全速前進を命じた。
最初こそ押されていたが、至近距離から放たれる宇宙魚雷は確実に相手の艦隊を沈めていく。
多大な犠牲を払いながらも、Sabik星系の戦いは巡礼者達の勝利に終わった。
艦隊を失った国に独立など守れるはずはない。
その後提督は没落帝国の首都に兵を向けた。
堅牢な要塞が控えていたものの、支援艦隊がなければただの的である。
提督は冷静に一つずつ、要塞を宇宙の塵に変えていった。
地表では死に物狂いの抵抗にあったが、3度目の突入の末、没落帝国の首都Celestial Throneを占領することが出来た。
こうして没落帝国の一つが滅亡した。巡礼者たちはこれで積年の恨みを晴らすことができたのである。
奴隷の身分に落とされた彼らを見て、巡礼者たちはどのような思いだったのか。
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喜びもつかの間、新たな知らせが届く。
残り二つ、銀河に存在する没落帝国の中の一つ、Khemplarが目覚めたというのだ。
いずれ訪れるであろう戦いの時に備え、巡礼者たちは周辺諸国の平定を急いだ。
まずは裏切り者のOthethiを倒す。やつらは科学技術共有や相互防衛協定まで結んでいたのに、それを過去に反故にしていたのだ。
そして、このような乱世において「種族の保存」を慇懃にも提案してきた没落帝国にも、これが良い機会だと戦いを仕掛ける。
「我が人民をエイリアンどもに絶対渡さんぞ!」
こうして、また一つ没落帝国は本当の意味での最後を迎えた。
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ちょうど戦争が終わったころ、Khemplarから通信が届いた。
「お前達は早く進みすぎたのだ。我々の保護によってお前の勇み足を正してやろう」
そう、巡礼者たちに属国となれと彼らは言うのだ。
巡礼者たちはその提案を拒否した。ここでやつらに屈する理由は一切ないからだ。
この銀河はPilgrim FathersとKhemplarに二分されつつある。
両者がぶつかり合うことは、誰の目から見ても明らかだった。
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