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道すがら、ゴリロという野生動物に出くわした。
マルコ達にとってはたいした相手ではなかったが、普通の人間であれば恐ろしい相手に違いない。
ヘングやグレートデザートにここまで獰猛な野生生物は存在しない事を考えると、シェクの領地は危険だとマルコは思うし、このような場所に住んでいるからこそ、シェクには屈強な戦士が育つのではないかと思った。
アドマグにたどり着いたのは、ちょうど日付が変わる頃だった。
早速王に会いに行く。
出迎えてくれたのは、バヤンという王の側近だった。
「フェニックススレイヤーに敬意を表します。あなたの望みは何でしょう?」
シェクにしては礼儀正しい人物のようにマルコは感じる。
「あなた方と同盟を結びたい」
マルコは開口一番にそう言った。
ホーリーネーションは皇帝フェニックスを失ったとはいえ、いまだに残党が群れを成してのさばっている。味方は少しでも多いほうが良いし、これまで出会ってきたシェク人を見て、実直かつ信頼できる人間が多いとマルコは感じていたのだ。
「無敵のフェニックススレイヤーであるあなた方とですか?エサタの名誉になるに違いない!あなたの敵はシェクの敵だ、親類よ」
バヤンはそう言ってすぐさまエサタの元へ吉報を知らせに行った。
それからすぐしてエサタがマルコのもとに現れた。
「マルコ、貴公は私が出来なかったことを成し遂げたのだ…。フェニックスという駄犬は貴公の剣によってついに打倒された。敬意を表す。シェクにとって、貴公はもはやアウトサイダーではない。我々の親類だ」
「今日この日に、貴公にクラルの戦士としての名前を授けよう。誇り高き無敵の...」
「天性の戦士、マルコだ!」
「新しいクラルの戦士に敬礼を!!」
そういってエサタと護衛たちは割れんばかりの大声を上げる。
「皆に知らせろ!マルコの敵はシェクの敵だとな!」
「天性の戦士よ、私の娘セトを連れて行くが良い。そして導いてやってくれ」
「彼女には私の血が流れている。貴公に自分の価値を証明することだろう。信じろ」
こうして、ストーンゴーレムの娘であるセトが、ユニティの一員として加わった。
正直、これほどまで歓迎されるとは思っていなかったマルコは面食らってしまった。
しかし、強さと名誉を重んじるシェクのことだ、自分達が倒せなかったフェニックスを倒したという事実だけで、シェク人たちはマルコたちを尊敬できるのかもしれない。
さらにエサタが自分の娘を仲間として差し出すあたり、シェクとしてもマルコのことを信頼しようとしているのかもしれない。
きっと、フロットサムのように信頼できる相手になるかも知れない、そうマルコは思った。
こうして更に大所帯となったユニティの一行は、進路をアドマグから西にとった。
行く先は、大陸の西に浮かぶ島々である。
野生の牛が闊歩する島にたどり着いた。
島には塔が一つ建っている。明らかに何かあるとしたらここではないか。
マルコをはじめとする精鋭が塔の中に入る。
中にいたのは…
大量のフォグマンだった。
奴らはこちらを見つけると、奇声を上げて飛び掛ってきた。
マルコは外に飛び出す。
外では味方が待ち構えている。正直、たいした相手ではない。
上階にもいるフォグマンを一掃する。
その後チェストを漁ったが、たいしたものは出てこなかった。
まあ、モングレル周辺の治安維持に貢献できたと考えれば、それはそれで良いかとマルコは思った。この島のフォグマンを壊滅させておけば、森のフォグマンの数も減って、ニンジャたちの負担も軽くなることだろう。
マルコたちは更に北へ進路をとる。
次に泳ぎ着いた島には、研究施設が一つあるだけだった。
施設には特に価値のありそうなものは残っていなかった。
おそらく、この島にたどり着いた誰かが先に持ち去ってしまったのだろう。
そして次にたどり着いたこの島で、マルコは衝撃を受けることになる。
つづく。