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ある時、銀河の片隅で、ローマ帝国は静かに再生した。
この「ローマ人」たちは元々、原始的な農耕を営む民族だった。そんな彼らの集落に、突如異星人が来訪したのは数百年前のことである。不慮の事故でこの惑星に訪れた彼は、ローマ人たちに手厚く出迎えられた。太陽信仰のあったローマ人にとって、空から光り輝く船に乗って降りてきた彼は、神のように見えたのである。
神はローマ人たちにまず、暦を教えた。乾季と雨季を正確に予測し、治水工事や収穫の時期を的確に判断するその姿は、ローマ人たちに神の力を確信させるのには十分だった。他にも様々な知識や技術をこの星に残そうとしたようである。
しばらくして、神は再び光り輝く船に乗って、この星を去った。その時、神は一つの忘れ物をしていたことに気づく。
神からの置き土産を、ローマ人たちは「神託」ととらえた。その後のローマ人は、持ち前の好奇心と頭の良さを生かし、文明のレベルをどんどん上げていった。しかし、どれだけ科学が進歩しても、彼らはローマ人としての生活様式を変えることはなかった。
そして今まさに、ローマ人たちは宇宙時代を迎えた。
彼らは知る由もないが、宇宙は各勢力間の争いにより、混沌とした状況となっている。
そんな宇宙で彼らは、「パックスロマーナ」を再び実現することが出来るのだろうか。
次回に続きます。